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諦める力(著者:為末大)

2021.11.02

「たかが人生、されど人生」

成功や今(現状を守る)という執着から離れて、軽やかに生きましょう!

はじめに

「諦める」という言葉の捉え方が変わり、現状を客観的に見つめるきっかけをくれる本です。

「諦める=明らめる」
仏教では、真理や道理を明らかにしてよく見極めるという意味で使われます。
諦める・・自分の才能や能力、置かれた状況などを明らかにしてよく理解し、今、この瞬間にある自分の姿を悟る
「終わる」「逃げる」という意味ではないのです。

①手段を諦めても、目的は諦めない。

勝つことは諦めないが、100メートルという手段は諦めた著者。
その経験から手段を目的化してはならないことを述べています。

「何かひとつだけ諦めないことをしっかりと決めて、残りのことはどっちでもいいやと割り切った方が、幸福感が実感できるような気がする」

(本文引用)

手段や継続すること、それ自体が目的になっていないか、自問してみましょう。

②希望と願望を混同しない。

 著者は願望ばかりの夢のことを「憧れの罠」と読んでいます。

・「もう少しで成功するから。諦めずにがんばろう」(未来を見ている)
(希望)
・「せっかくここまでやったんだから、諦めずにがんばろう」(過去を見ている)(願望)

ここを混同しないように指導してくれる大人の存在がもっと必要になるとのこと。なんでも「諦めずに頑張れ」という人ではなく、「あなたには向いていない」と言ってくれる人が重要なのではないか、そう思わされます。その人の夢を潰すだけではく、人の人生を左右しかねない重みを持つ言葉なので、言うのには勇気がいります。でも、経験の少ない人が自分だけで願望ばかりの判断をしないよう、そういった大人が必要なのではないでしょうか。

踏ん張りをつけるタイミングは「体感値」でしかないこと、これが難しい。
だからこそ、本気で物事に挑むことによる自分の限界値を知ることがすごく大切です。
全力で試して見た経験が少ない人は、「自分ができる範囲」について体感値が少ない。
あり得ない目標を掲げて自信を失ったり、低すぎて目標ばかりを立てて成長できなかったりします。
転ぶことや失敗することを恐れて全力で挑むことを避けてきた人は、この自分の範囲に対してのセンスを欠きがちで、それが1番のリスクであるのです。

③勝てるところで勝負する(努力の娯楽化)。

 人間には、変えられないことの方が多い。だからこそ、変えないままでも戦えるフィールドを探すことが重要です。

「最高の戦略は努力が娯楽化することである。そこには苦しみやつらさという感覚はなく、純粋な楽しさがある。苦しくなければ成長できないことなんてない。人生は楽しんでいい。そして楽しみながら成長すること自体が成功への近道なのだ。」

(本文引用)

努力なしに成功を手にすることはできません。
でも、人によっては努力が喜びに感じられる場所と、苦痛にしか感じられない場所があります。
苦痛の中で努力しているときは「頑張った」という感覚が強くなる。
でも、「ただ頑張った」とういう満足感と成果とは別物なのです。

まとめ

諦めるということは、「終わる」「逃げる」という意味ではない。
選択に「ベスト」はなく「ベター」のみ。
成功や今という執着から離れて、軽やかに生きていきましょう!

↓↓<その他、本書で印象に残った文章を記しておきます。>↓↓

「人間が堕ちていく時にはそんなに大きな出来事があるわけではなく、超えては行けない一線をほんの少し超えてしまった瞬間にずるずると堕ちていく。」

「人生とはトレードオフの積み重ね。自分にとって大切なものは何か?」

「生きていくためのサイズを小さくしておけば、やらなければいけないことが減っていく。そうすれば、何かを止めることも、何かを変えることも容易になっていく。」

「諸行無常・・この世の全てのものは絶えず移り変わり消滅す流もので、一刻の間も同じ状態を保つことがない。仏教の基本的な考え方の一つで、人生のはかなさをいう言葉。」

(本文引用)

最後まで読んでいただきありがとうございました。